スタッフの発表
先日、歯科医師会館で学術講演会が行われた。
私たちが6年間参加している勉強会Oita Periodontal Educationでは
歯周病について基礎・基本を学び続けている。
今OPE勉強会参加医院は県内外含めて14医院あるが
今年は私たちあべ歯科クリニックの歯科衛生士 鈴木さんが代表で発表してくれた。
発表内容、演題は『歯周治療を成功させるプラークコントロールの重要性』
歯周治療の難しさの一つに
医療従事者サイドで治療が完結しないところがあげられる。
患者さんが積極的に治療に参加しなければうまくいかない。
歯科治療の多く、そして歯を失う原因の多くが歯周病とむし歯なのはご存知だろう。
ではなぜ、歯周病になり、虫歯になるのだろうか?
歯科医院に行くと治療椅子に座り
すぐに歯石を取ったり、削って詰め物をしたりしていないだろうか?
むしろ未だにそれが一般的であろう。
保険診療では 出来高制のためとりあえず何かやらなければ治療費を請求できないので
診査診断も程々に 治療計画も無く手を出してしまう医療サイド。
やってもらうことが当たり前の患者。
このような状態では歯周治療だけでなく歯科治療全てがうまくいかない。
原因を調べ根本から解決しなければ
全て対症療法となり永遠に問題は解決しない。
まるで今の日本の姿のようである。
今の日本経済問題の主な原因が敗戦と少子化であるように
歯周病の主な原因はプラーク(細菌)と宿主の免疫反応なのだ。
ブラッシング指導を行わない歯科医院は今や絶滅危惧種かもしれないが
患者が真面目だったとしてブラッシング指導だけでは改善しない患者もいるのは
宿主の免疫反応まで考慮した介入を行っていないからなのかもしれない。
日本で多くの歯科衛生士が行なっているTooth Brushing Instruction(TBI)は歯を磨くことのみを目的とした指導であり、
Oral Hygiene Instructionの一部でしかない。
OHIは口腔内の指導だけではなく全身的な管理、または禁煙指導を行うことで歯科治療を成功に導く。
超高齢化社会に突入し医療費が国を滅ぼすかもしれない今後の日本で
保険医療機関の歯科医院では
全身的な管理を行った上でプラークコントロール20%台にならなければ
保険診療での歯石取りや補綴治療を禁止してもいいのかもしれない。
発表者7人のうちわけは歯科医師6名、歯科衛生士1名だった。
発表の内容は素晴らしく
ヒイキ目を除いたとしてもMVPがあるなら歯科医師を押し退けて彼女だったろう。
今回の発表で刺激を受けた歯科衛生士さんや歯科医院は
是非一緒にOPEで学べると嬉しい。
ただし、
経営者である歯科医師だけでなくスタッフ歯科衛生士と共に学ぶには
勇気と覚悟
断固たる決意が必要になる。